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心を抉る残酷さに 15

Penulis: 花室 芽苳
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-23 23:10:47

 けれどもそんな東雲《しののめ》社長を相手に、朝陽《あさひ》さんは顔色一つ変えることなく毅然とした態度で答える。

 大企業の御曹司である彼は、もしかしたらこんな場面は何度も見てきたのかもしれない。

「その写真の元画像もどうせアイツに渡っているんだろうが、残りについては責任を持って処分するんだな」

 その写真が悪用されないか不安ではあるが、朝陽さんには何か考えがあるのかもしれない。

 今の私には何も出来ない事が、もどかしいけれど……

「それはそうですが、このままでは私や家族と会社が……」

「そんなこと俺が知るか。だがこれ以上、鈴凪《すずな》に手出しをするつもりならば俺も遠慮はしない」

 何とかして欲しいと縋りつく東雲社長に、朝陽さんが揺らぐことはなく。ハッキリとこれから先、私に関わらないように釘を刺してくれた。

 もちろんそれは嬉しいけれど、本当にこのまま朝陽さんに甘えていていいのか考えさせられる。

 どう考えても、私が彼の足を引っ張って迷惑をかけ続けてしまっている現状に……あの人なら、こうならないんじゃないかって。

 そんな私の思考を遮るかのように、今度は東雲君の焦った声が聞こえくる。

「おい! これから俺たちはどうなるんだよ、なあ親父!?」

「畜生、あんな奴の口車にのせられなければ。私達はアイツに騙されたんだ……」

 私を騙してこの会社から出ていくように仕向けようとしたこの二人を許す気にはなれないけれど、これから彼らがどうなるのか少し気にはなって。

 でもそんな事を朝陽さんに聞ける雰囲気でもなかったため、しばらく黙っていると……

「お二人は先にマンションへ帰っていていてください、後始末は私がやっておきますから。ご心配なく」

 いままで様子を見守っていた白澤《しらさわ》さんが、そう声をかけてきた。彼の後ろにいた部長や轟《とどろき》さんも、そうしなさいというように頷いている。

 確かにこんな状況の後で作業に取り組むのは難しかったので、その提案は正直有難くて。

「……ああ、悪いけど頼むぞ白澤。とりあえずマンションに帰るぞ、いいな鈴凪」

「は、はい」

 そう言って私の片手を掴んだ朝陽さんに連れられて、そのままオフィスを後にする。まだ混乱している私をタクシーの後部座席に座らせて、マンションへと向かうまで朝陽さんはずっとその手を繋いでいてくれた。

 それだけのことでも、心が
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